玩具を取り巻く現状

たまごっちの黒歴史

玩具がヒットすれば誰もが欲しくなるのは当然の現象だ。ファミコンにしてもスーファミにしても、プレイステーションにしてもです。筆者もゲーム機が欲しいとよく親にねだっていたものですが、そんなに欲しいなら成績を上げろと言われてグゥの音も出なかった。冷静になってそれが道理であり、よくよく考えたら今それを買う必要はないということにも気づけたりしたので、そう見れば無闇矢鱈と買い与えないで我慢を教えてくれた親には感謝している。

だが中には我慢出来ず、どうしても手に入れようと必死になる人たちもいた。それは90年代に大ブレイクし、社会現象を引き起こしながらも同時に社会問題まで引っさげて台頭するという異例の玩具の存在があった。これらの現状に応じて問題視する動きも見られたのが、90年代半ばに発売された『たまごっち』という玩具についてだ。

今でも人気の玩具であり、ゲームでもある作品には、こういう事実があったことを知る必要がある黒歴史が存在している。

ヒットしたが故

簡易育成携帯ゲームとして登場したたまごっちが登場したとき、異常なほどの人気を呼んだ。当時小学生だった筆者も親にねだったもので、ある時親が購入した福袋にたまごっちがあったのでそれを貰ったのを覚えている。その頃には幾分かブームは下火になりつつあったので入手は難しくなかったものの、発売されたばかりの頃は女子高生を中心に空前とも言えるヒットを記録した。だが人気なのに在庫がほとんどなく、手に入れるにしても買えない、買うにはオークションなどの転売や譲渡でなければ手に入らないという動きすらあったほどだ。

ここまでの人気高騰は、当時女子高生のカリスマとして人気を集め、現在も第一線で活躍している安室奈美恵さんがたまごっちを持っていたことから来ているという。当時はアムラーという言葉が流行し、頭の先から足の爪先まで彼女と同じになりたい少女たちが多く、それに託つけてたまごっちも手に入れようと躍起したのだ。けれど探せど探せどたまごっちが恐ろしいほどない、これには理由があったのです。

それは話題とブームを作り出すために販売元のバンダイが独自に出荷量を抑えることで、たまごっちブームを意図的に作り出していたのだ。これは見事に成功し、世は一躍たまごっち色に染め上げられていった。だからか、たまごっちを持っていれば一躍人気者になれると、とりわけたまごっちのホワイトカラーは希少故か最大で20,000円で転売されていたとも言われるくらいに人気を集める。

企業の作戦勝ち、と言いたいところだが、この戦略によって色々な部分で問題が出てしまったのだ。

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たまごっちブームに見られる問題点

ブームになったのに

まずはバンダイだが、意図的に出荷量を少なくして徐々に店舗への入荷数を増やして更なる需要を伸ばしていこうとした。ブームが始まったばかりの頃はそれも十分通じていましたが、ブームは数ヶ月足らずで収束していったことが誤算だったのでしょう。その頃にはもう買い求める人も少なくなり、需要どころか供給過多といったあべこべな現象に見舞われてしまったのです。これには一重に、手に入らないものを高額な値段で買う必要はないということに気付かされた人々が冷めてしまい、購入意欲を失っていったことが原因といえる。

結果、大ヒットしたのにバンダイはなんと総額45億円という赤字を出してしまい、社内では大失敗とまで蔑まれる黒歴史になってしまったのだ。出荷量を抑制する動きも関係部署の独断で行ったが故に大きすぎる負債を出したことも原因の1つと言われています。

手に入れるために

バンダイの戦略による過剰な出荷抑制により、たまごっちの入手が困難を極めた。それ故、暴力団などが大量に買い付けて多額で販売するなどの転売行為が横行してしまう。ここまでならまだ良い、問題はその先を極めてしまったのです。それというのも、たまごっちが欲しい故に女子高生の中にはなんと身売りをしてまで手に入れようとする物が出始めたのだ。この頃から売春が『援助交際』といった呼び方に変わり、するのが当たり前といった風潮を生み出してしまったとも言われている。

たかが玩具欲しさに売春までするように至った責任は、間違いなく企業責任にある。ただその分の負債を背負ったのだから因果応報と言うべきか。

玩具ヒットの裏側で

人気だから徹底的に売り出したい、というのは企業理念として最もな感情と言えるでしょう。だからといってたまごっちのような過剰な出荷抑制により、欲しいあまり自分の身も顧みない人が出てしまったことは、社会問題として見られても仕方がない。失敗と言われていますが、企業にしてみれば自分たちの独断で安易な行為に走ってしまった人がいるという事実の方が社会的な面からも重大な問題だろう。

こう考えると、あの異常なたまごっちブームの異質さを理解できる。個人的には企業側にも責任はあると考えると同時に、売春をした少女たちにも責任はある、そう見なしている。

日本モノポリー協会